ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理(特に金融史、政策史)。同校のBGIE(ビジネス・政府・国際経済)部門に所属。MBAプログラムでは選択科目「近代的金融システムの形成」、「アメリカ民主主義の歴史」、ハーバード大学の学部生プログラムでは「アメリカ民主主義の歴史」を教えている。アメリカ国内はもとより世界各国のエグゼクティブ講座でも教鞭をとる。日本では野村マネジメント・スクールの教授も務めている。ハーバードビジネススクールを代表する人気教授であり、学生が選ぶ「最高の教授賞」を過去8回受賞。近編著に“Preventing Regulatory Capture: Special Interest Influence and How to Limit 我が国の商品先物取引制度 It”(ダニエル・カーペンター編、デビッド・モス編、Cambridge University Press, 2013).
【講演】 我が国の商品先物取引制度 先物取引市場と業界の課題
現実に以上のような状況に直面したことを考えると、 G20 諸国の首脳が2009年9月にピッツバーグで一堂に会した時、この問題を何とかしなければならないと判断したことは当然の成り行きであった 1 。店頭デリバティブ市場については、比較的問題が少なかった先物市場の経験が広く参照された。より標準化された商品を電子化されたシステムで取引し、これを集中清算にかけることを奨励することにより、店頭デリバティブ市場の透明性と頑健性を高めていくことについて、合意がみられた。これらの改革が、予定通り本年末までに実施されることになれば、店頭デリバティブ市場は、先物市場に一層近づくことになる。標準化になじまない商品についても、証拠金の受払いや取引の報告という、先物市場で有効性が確認されている義務が課されることになっている。
中央銀行と規制当局が、本年4月に、国際決済銀行(BIS)の支払決済システム委員会(CPSS)と証券監督者国際機構(IOSCO)の専門委員会によって公表された、「金融市場インフラのための原則」の検討を進めてきたのは、正にこのような事情を背景としたものである。この新しい原則は、ガバナンス、日常的な運用方法、リスク管理、危機対応など、金融市場インフラのすべての側面をカバーする、24の要素で構成されている 2 。この原則は、世界の金融市場を支えているインフラが、頑健性を有し、金融面のショックによく対応できるという観点から作られている。また、既存の勧告を強化するとともに、これまで扱われてこなかった点もカバーしている。たとえば、複数国においてシステミックに重要な清算機関、および、複雑な特性を持つ商品の清算機関については、従来は最も大きな参加者の破綻に備えることとされていたのに対し、少なくとも最も大きな2参加者の破綻に備えなければならないことになった。この原則は、金融市場において協働して取引を清算・決済・記録する、すべてのシステミックに重要な資金決済システム、証券集中振替機関、証券決済システム、清算機関および取引情報蓄積機関に適用される。日本銀行は、金融庁と密接に協力して上記原則が決定される国際的な議論に参加しており、こうした原則ができる限り早く適用されることを目指している。
冒頭で述べたように、日本の市場インフラの強化を目指したこうした動きは適切なペースで進んでいる。たとえば、本年末までに店頭デリバティブ取引を集中清算にかけるという G20 合意についてみると、日本における法制面の手当ては、おそらく世界に先駆けて完了している。そうした手当てを受け、クレジット・デフォルト・スワップの清算が2011年7月に始まっているほか、円金利スワップの清算も本年10月には始まる予定となっている。もう1つ重要なリスク軽減のための動きを紹介すると、日本国債の決済期間の短縮が推進されている。本年4月以降、日本国債の取引は、それまでのT+3決済からT+2決済に短縮され、未決済残高が削減されている。さらに決済期間をT+1決済まで短縮するための検討も開始されることになっている。日本の政策当局と業界は、ともに日本の市場インフラを強固かつ頑健にすることを目指しており、これは国際金融センター化に向けた他の金融センターとの競争において東京の立場を後押しするものである。
金融や先物取引の社会的な意義という次のテーマに移る前にいくつか付言すると、まず、集中清算の利用が活発になることに伴って生じるトレード・オフに留意しなければならない。集中清算には、たとえば、カウンターパーティ・リスクの削減、担保管理の強化、透明性の向上、標準化を背景とした市場流動性の向上といったメリットがある。これは市場インフラの強固さや頑健さを向上させることにつながるものであり、 G20 我が国の商品先物取引制度 が金融危機の教訓として広く採用することを求めている理由でもある。反面、集中清算には固有の問題もある。たとえば、制度設計が適切でないと、カウンターパーティ・リスクに対する懸念が軽減されることを背景に、利用者の間でモラル・ハザードが増大する可能性がある。また、清算機関自身にリスクを集中させる結果、「大き過ぎてつぶせない」状況が生じるかもしれない。日本銀行は、かねてよりこうしたトレード・オフの存在を認識しており、それを賢明に管理することの重要性を繰り返し強調してきた。
江戸時代、日本は金融立国だった!
再評価される世界初の先物市場“堂島米市場”
デビッド・モス David Moss
ハーバードビジネススクール教授。専門は経営管理(特に金融史、政策史)。同校のBGIE(ビジネス・政府・国際経済)部門に所属。MBAプログラムでは選択科目「近代的金融システムの形成」、「アメリカ民主主義の歴史」、ハーバード大学の学部生プログラムでは「アメリカ民主主義の歴史」を教えている。アメリカ国内はもとより世界各国のエグゼクティブ講座でも教鞭をとる。日本では野村マネジメント・スクールの教授も務めている。ハーバードビジネススクールを代表する人気教授であり、学生が選ぶ「最高の教授賞」を過去8回受賞。近編著に“Preventing Regulatory Capture: Special Interest Influence and How to Limit It”(ダニエル・カーペンター編、デビッド・モス編、Cambridge University Press, 2013).
佐藤 MBAプログラムの選択科目「近代的金融システムの形成」では、日本の堂島米市場(大坂堂島にあった江戸時代最大の米市場=世界最初の先物取引市場)について学びますね。なぜこの事例を教材にしようと思ったのですか。
モス 堂島米市場のケースは、複雑な要素がからみあっていて理解するのが難しいケースなのですが、なぜか学生からはとても人気があります。毎年、期末試験のレポートで、最も引用されることが多い事例です。
佐藤 堂島米市場は世界最初の先物市場です。堂島米市場が生まれた背景を見てみれば、先物市場の本質が見えてくる、ということでしょうか。
モス 我が国の商品先物取引制度 堂島米市場のケースは少し例外ですね。先ほど、これは難解なケースだと言ったのは、市場の成立した背景を簡単に説明できないからです。江戸時代の日本の社会構造も複雑ですし、米市場が形成されるまでの過程も複雑です。なぜ大坂の堂島でこの時代に先物市場が形成されたのかについては、様々な背景を理解しなければなりません。
我が国の商品先物取引制度
日本投資者保護基金による補償を受けることはできるかどうか、どのように判断すれば良いですか。 購入した有価証券の評価損や有価証券の発行者自体のデフォルト(債務不履行)などによる損失は、日本投資者保護基金の補償対象ですか。
- 日本投資者保護基金が補償するのは、分別管理義務が課されている金銭や有価証券のうち、証券会社が破綻した際にお客さまに返還できない場合の損失だけです。
- したがって、証券会社の破綻時にお客さまが破綻した証券会社に預けていた有価証券が値下がりし評価損が生じていたとしても、日本投資者保護基金が補償するのは、当該有価証券の時価相当額であり、その評価損(元本と時価の差額)は補償いたしません。
- また、発行者がデフォルト(債務不履行)を起こした結果、当該発行者が発行した債券の利金や償還金が支払われない場合なども、日本投資者保護基金が補償することはありません。
- 日本投資者保護基金は、破綻した証券会社が、分別管理の義務に違反したことによって、返還を受けられなかった金銭・有価証券のうち、お一人あたり合計1,000万円までを上限に、金銭で補償を行います。
- 返還を受けられなかったお客さまの資産が有価証券である場合であっても、有価証券ではなく金銭で補償します。この時の有価証券の補償額は、当該有価証券が取引所上場銘柄である場合には、日本投資者保護基金が補償を行うことを新聞紙上などで公告を行った日の最終価格で計算します。
- 一方、お客さまが証券会社に対して債務を負っている場合(例えば証券会社が買付代金を立て替えている場合など)には、当該債務の額を補償額の計算の際に控除します。
証券会社から返還されない金銭等が日本投資者保護基金の補償範囲を超えている場合は、日本投資者保護基金では超えた部分については補償することはできません。 我が国の商品先物取引制度
しかし、お客様の資産のうち日本投資者保護基金の補償範囲を超えた部分の資産については、お客さまは、破綻した証券会社に対する債権者としての権利が有ります。
そのため、日本投資者保護基金の補償範囲外の返還されない資産については、他の一般の債権者と同様に、破産手続や民事再生手続などを通じて破綻した証券会社に請求することができます。ただし、請求額に対しどれだけ返還されるか、あるいは全く返還されないかは個々の破綻した証券会社の財産状況により異なります。
有価証券店頭デリバティブ取引とは、「店頭」という言葉の通り、取引所という市場に注文を出すことなく、有価証券先物、オプション、証券CFD取引についてお客さまと証券会社の間で相対で行う取引です。また、外国有価証券市場デリバティブ取引とは、有価証券先物、オプション、証券CFD取引を国内の取引所ではなく、外国の取引所で行う取引のことをいいます。
有価証券店頭デリバティブ取引や外国有価証券市場デリバティブ取引に係る金銭、有価証券などの顧客資産については、全て、日本投資者保護基金の補償対象ではありません。
(Q4(2)参照)
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フジトミ証券のFITS
商品先物取引に係る留意点 当社オンライントレード「FITS(フィッツ)」で商品先物取引を行うにあたって以下の留意点がございます。
(2022年6月6日夜間立会開始時点) リスクについて 大阪取引所及び東京商品取引所の商品先物取引(以下「商品先物取引」という。)は証拠金による取引であり、元本及び利益が保証されるものではありません。通常取引の場合、投下資金の数十倍以上の額の取引を行うものであるため、相場等の変動、海外情勢や相場等の指標の変動により投下資金以上の損失が生じることがあります。
レバレッジについて 商品先物取引は証拠金取引であるため、取引の額は商品により異なります。大阪取引所上場銘柄の通常取引では、当社必要証拠金額の10倍~37倍(先限ベース)、東京商品取引所上場銘柄の通常取引では当社必要証拠金額の3倍~19倍(先限ベース)にもなります。
取引証拠金について 我が国の商品先物取引制度 最初に預託する証拠金の額は取引方法・商品により異なります。
最低取引単位(1枚)当り、大阪取引所上場銘柄の通常取引では最高449,500円、最低21,600円、東京商品取引所上場銘柄の通常取引では最高969,500円、最低267,000円になります。ただし、通常取引については、その後の相場の変動によって追加の預託が必要になることがありますので注意が必要です。またその額は、商品や相場の変動によって異なり一様ではありません。
各商品の取引証拠金等についてはhttps://www.fits.cx/deposit/shoukokin.htmlをご覧下さい。 ロスカットについて 当社ではロスカット制度を導入しています。お客様の取引口座の証拠金状況を3分間隔でモニタリングし、取引口座の受入証拠金総額が必要証拠金額に対して当社が別に定める基準以下になった場合、ロスカットが発動し、その時点で保有する全ての建玉は自動的に決済注文が発注されます。また、その際に、発注中の注文は全て取消しが行われます。 ロスカット発動によりお客様が預託された証拠金を上回る損失が生じる可能性があります。 手数料について 商品先物取引の委託には委託手数料が掛かります。インターネット取引スタンダードコースにおける委託手数料は、最低取引単位(1枚)当り最高額が824円(往復、税込)、最低額が限日取引(ゴールドスポット・プラチナスポット)及びミニ取引で384円(往復、税込)です。 ※不足金対応や建玉期限などにより当社において建玉を決済した場合、別途強制決済手数料1枚当り1,650円(税込)を加算した2,474円(税込)が通常取引の手数料最高額となります。 インターネットおよびシステムのご利用について 取引に関するシステム、又はお客様、当社、取引所の間を結ぶ通信回線等に障害が発生した場合等には、相場情報等の配信、注文発注・執行(成立)・訂正・取消し等が遅延したり、不可能になることがあり、その結果、不測の損失を被る可能性があります。
金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第1614号
商品先物取引業者:農林水産省指令28食産第3988号,経済産業省20161108商第10号
加入協会:日本証券業協会,一般社団法人金融先物取引業協会,日本商品先物取引協会
情報開示について
日本商品先物取引協会のホームページhttps://www.nisshokyo.or.jp/または、当社の本・支店にてご覧いただけます。
顧客相談室(本社)
TEL:0120-358-066
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目15番5号
日本商品先物取引協会相談センター
TEL:03-3664-6243
Webサイト:https://www.nisshokyo.or.jp/
証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
TEL:0120-64-5005
Webサイト:https://www.finmac.or.jp/
お問い合わせ先:オンライントレード部
フリーダイヤル:0120-15-2413(平日8:30~18:00) 我が国の商品先物取引制度
FAX:03-4589-5502
E-mail:[email protected]
商号:フジトミ証券株式会社(金融商品取引業者・商品先物取引業者)
登録番号:関東財務局長(金商)第1614号
許可番号:農林水産省指令28食産第3988号・経済産業省20161108商第10号
加入団体:日本証券業協会・日本商品先物取引協会・一般社団法人金融先物取引業協会
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目15番5号
® 2021 Fujitomi Securities Co., Ltd.
【市場比較(2)】日本と中国の天然ゴム先物市場 1
出所:JPX、SHFEより筆者作成
商品スペック、取引制度の違い
出所:JPX、SHFEより筆者作成
日本で取引をされている天然ゴム先物はRSS3先物とTSR20先物となりますが、上海先物取引所では天然ゴム(Natural Rubber)先物となっています。この先物の対象となる天然ゴムは、中国産の場合は国内基準に準拠したSCR WF、海外産の場合は日本のRSS3先物と同様、国際基準(グリーンブック)に準拠したRSS3となります。
* 2021年9月21日に直近12限月に変更予定。
出所:JPX、SHFEより筆者作成
出所:JPX、SHFEより筆者作成
出所:JPX、SGXより筆者作成
値動き、取引高の関連性
OSE RSS3先物とSHFE Natural Rubber先物の値動き(2020年7月1日=100)
出所:JPX、SGXより筆者作成
OSE RSS3先物とSHFE Natural Rubber先物の価格スプレッド(米ドル建て)
出所:JPX、SHFE、Bloombergより筆者作成
出所:JPX、SHFEより筆者作成
出所:JPX、SHFEより筆者作成
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