価格設定の考え方
価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者にとっては価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となり、購入する際の意思決定の決め手となるものです。すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってそのつど決めています。
したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は売れませんし、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることになります。
しかしながら、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設定を行うと、会社経営に深刻なダメージを与える可能性もあります。
これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲内で決まることになります。
また、自社が設定する価格は競合企業の価格政策に影響を与えることも忘れてはなりません。低価格化競争は、しばしば無用な乱売競争を招き、結局は競合企業とお互いの首を絞め合うことにつながる可能性もあります。
これらのことを考えると、価格政策が企業にとっていかに重要な経営課題であるかが分かります。
そのため価格設定は、商品の特性や営業・販売構造などを総合的に判断して、自社にもっとも適した方法を検討する必要があるのです。
現在、自社がどのような価格設定の方法をとっているのか、それが適切かどうかを定期的に確認することが必要です。
基本的な価格設定の方法
原価を考慮して決める方法
(1)コストプラス価格設定方式
(2)マークアップ価格設定方式
販売価格=仕入れ原価+値入れ額
- 店舗もしくは部門経費(商品の管理費用や直接販売費など)
- 商品の販売に先立って予想される破損・盗難・値下げなどの損失
- 営業利益
需要を考慮して決める方法
(1)知覚価値価格設定方式
(2)需要差別価格設定方式
競合状況を考慮して決める方法
(1)市場価格より低く設定する方式
(2)市場価格より高くまたは同一価格に設定する方式
商品のライフサイクルと価格政策
導入期の価格政策
(1)市場浸透価格設定方式~販売数量を重視
導入時から低価格を訴求し、販売数量と市場占有率を短期間で上昇させ利益を確保しようとする方法です。
この手法は、販売数量が増加するにつれて商品1単位当たりのコストが下がるという仮定(規模の経済)に基づいています。そのため量産しやすい日用品や食品業界に多くみられる手法です。
成功すれば早い時期に市場でのシェアを獲得でき、また、利幅が低いため競合企業の参入意欲を減退させる、という効果があります。
しかし、販売数量が増加しても期待どおりに原価が下がらず、なかなか利益を確保できないというおそれもあります。
(2)うわずみ吸収価格設定方式~利益率を重視
いわゆる高級品志向を狙う価格設定方法です。(1)とは逆に、導入期に高価格を設定し、収益性を重視し早期の資金回収を図ります。巨額の投資が必要な産業(半導体製造など)に多くみられます。
高級自動車などのように、量産せず、低価格にせず、高級イメージを維持することで希少価値をアピールすることができます。
また、高価格により投下資本を早期に回収し販売数量が増加すれば、競合商品と比較しながら、価格を下げて市場占有率を高めていくことができます。
ただし、ターゲットとなる顧客層が限られるため市場への浸透力が弱く、資本回収に十分な販売数量を確保できないリスクがあります。
成長期の価格政策
商品が成長期に入ると、通常、価格は横ばいか低下の傾向をたどります。それは、市場の成長により競合が激化してくるとともに、生産・販売数量の増加からコストが低下してくるためです。
したがって、企業として成長を維持していくためには、原価プラス利益方式を基本に適切なタイミングでの価格引き下げやサービスの付加を検討する必要があります。
また、成長期の後半には拡販による利益の追求よりも、製造・販売原価の低減が重要な利益の源泉となってくることも忘れてはなりません。
成熟期の価格政策
衰退期の価格政策
商品が衰退期に入ると、販売数量は著しく減少します。さらに新製品の出現、消費者の嗜好の変化によって市場シェアは急激に低下します。
ただし、この傾向が自社だけの傾向なのか、それとも市場全体の傾向なのかによってとるべき方向性は異なってきます。すなわち、もし市場全体が衰退期にあるのであれば原則として市場から撤退することを考えますが、自社のみにみられる傾向であれば価格・品質などの再検討が必要です。
また、市場全体が衰退期にあったとしても、多くの企業が撤退した場合、自社は残りの需要で着実に収益を上げることも可能です。
したがって、この時期は新商品開発を本格化すると同時に、原価を考慮した価格設定で販売して、需要がどのくらいあれば存続していけるかを検討する必要があります。
また、採算割れしない程度の価格を維持して在庫を処分し、近い将来の撤退に備えるといった視点も求められます。
価格設定のテクニック
固定費回収法による価格設定
企業経営においては、ある部門が赤字でもほかの部門がその赤字をカバーしていれば、会社全体としては赤字にはなりません。
したがって、ある商品に割り当てられる固定費を小さくしたり大きくしたりして、販売価格を設定するという方法があります。
たとえば、製造業の場合、戦略商品には材料費・仕入原価などの直接費に労務費・製造経費だけを加えた価格を販売価格とし、そのほかの商品に残りの販売・管理費など固定費を背負わせる、という方法です。(下表では「商品B」が戦略商品)
(単位:円) 上記の場合、トータル損益は500円
不動産売却に必要な費用一覧!手数料の相場や税金の計算方法を解説!
不動産売却のコツ
一般的に 不動産売却でかかる費用は売却価格の4~6%程度 と言われていますが、具体的に「手数料がいくらかかるか」「いつ支払えばいいか」を分からない人も多いでしょう。
そこで今回は、専門家監修のもと 不動産売却で発生する費用の中でも額が大きい「仲介手数料」を中心に金額の相場や支払いのタイミングを 解説していきます。
監修 福谷 陽子 弁護士としての約10年間の実務経験を活かし執筆業を行っている。法律のみならず不動産に関する税務についても精通。各種の不動産メディアや不動産投資に至るまで不動産に関する問題ならあらゆる記事に対応している。
【保有資格】司法試験合格/日商簿記2級、3級
【URL】元弁護士・ライターぴりかの法律blog
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【不動産売却の費用一覧】仲介手数料が大半を占める⁈
費用名 | 費用 | 支払時期 |
---|---|---|
仲介手数料 | ( 売却額 × 3% 取引する際にかかるコストは + 6万円 ) + 消費税 | 売買契約時と決済後 |
印紙税 | 1000円∼6万円 | 売買契約書の作成時 |
抵当権抹消費用 | 1000円(司法書士に依頼する場合1万∼5万円) | 移転登記時 |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円~3万円 | ローン返済時 |
譲渡所得税 | 所得税額(短期) = 売却益 × 30.63% 所得税額(長期) = 売却益 × 15.315% | 確定申告後 |
ハウスクリーニング費用 | 3万∼10万円 | クリーニング実施後 |
測量費用 | 50~80万円 | 測量実施後 |
解体費用 | 100~300万円 | 解体後 |
契約書類発行費用 | 300円/枚 程度 | 書類発行時 |
例)2800万円で家を売却した場合の費用
1.仲介手数料(不動産会社に支払う手数料)
費用:99万円(2800万円×3%+6万円+消費税)
2.印紙税(売買契約書作成のために支払う費用)
費用:1万円
3.抵当権抹消費用(抵当権の抹消に伴う費用)
費用:2万円
4.住宅ローン返済費用(住宅ローン返済の事務手数料)
費用:3万2400円 ※窓口対応の場合
5.税金
費用:売却額が3000万円以下なので税金はかかりません
6.その他
費用:ハウスクリーニングや引越し費用等が発生する場合があります
合計費用 105万2400円
仲介手数料
不動産会社に物件の販売活動を行ってもらい無事に売れた場合に 仲介業務の報酬として支払われるのが仲介手数料 です。
仲介手数料に含まれるのは通常業務で発生する費用で、物件情報サイトに情報を載せたり、チラシ配布などの営業活動を指します。ただし、通常で行わない測量や建物の解体など特別な活動をしてもらうと別途費用が請求されます。
仲介手数料の相場
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の場合 | (売却価格×5%)+消費税10% |
200万円を超え400万円以下の場合 | (売却価格×4%+2万円)+消費税10% |
400万円を超える場合 | (取引する際にかかるコストは 売却価格×3%+6万円)+消費税10% |
売買成立しなくても手数料が必要な場合がある
仲介手数料はいわゆる「成果報酬」なので売却成立した時のみ支払いが必要で、一般的には 売買契約時に仲介手数料の50%を支払い、物件の引き渡し後に残りの50%を支払う ことになります。
売買契約後に売り主又は買い主の事情で契約を解除する場合(手付解除)
売買契約に対してどちらかが守らず契約を解除する場合(違約解除)
仲介手数料の早見表
売却価格 | 仲介手数料(税込) |
---|---|
100万円 | 55,000円 |
400万円 | 198,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
印紙税とは、 経済的取引などに関連して作成される文書(契約書や領収証)に課税される税金 で、売買契約書に「収入印紙」を張り付ければ納税を果たしたことになります。
印紙税は消費税増税の影響を受けて平成26年4月1日から令和2年3月31日までの間は軽減税額が適応され、契約金額の違いによって以下のように課税されます。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円を超え 500万円以下 | 1000円 | 500円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 5000円 | 1000円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 1万円 | 5000円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
抵当権抹消費用
抵当権抹消費用とは、ローンを完済した際に抵当権を抹消するためにかかる費用です。抵当権とは、住宅ローンを組む際に、 金融機関が不動産を担保として設定する権利 を指します。
費用は、 登記にかかる登録免許税と 依頼する司法書士の方への手数料を含めて 取引する際にかかるコストは 5,000円~2万円程度 です 。個人で抵当権の抹消を行う場合、1不動産あたり1,000円 の登録免許税のみで 済ませられます。
住宅ローン返済手数料
売却する不動産にローンが残っている場合、一括返済のために金融機関の事務手数料が必要です。繰り上げ返済の手数料は 金融機関によっても異なりますし、 窓口で行う場合、電話で行う場合、ネット経由で行う場合も異なるケースが多数です。
例えば、三菱UFJ銀行の場合、 窓口は33,000円、電話は22,000円、ネット経由は16,500円。三井住友銀行は窓口(書面)22,000円、窓口専用パソコンでの取扱い11,取引する際にかかるコストは 000円、ネット経由5,500円 となっています。
【初心者必見】株を購入するときに手数料はかかるの?
プロフィール:
中田FP事務所 代表/CFP®認定者/終活アドバイザー/NPO法人ら・し・さ 正会員/株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師/元システムエンジニア・プログラマー
給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP®資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
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関東、関西在住 小中学生の子どもを持つ親に調査!教育・受験とお金事情
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【初心者必見】株式投資の配当金の仕組みと受取方法について
(執筆者:中田 真(ファイナンシャルプランナー))
コラム
中古住宅を購入する際にかかる
仲介手数料、諸費用とは?
住宅購入の契約にはまず印紙税がかかる
中古住宅の売買に関する消費税について
① 個人が仲介会社を介して売却する場合 | 建物部分については非課税 |
---|---|
② 不動産会社の売主物件 | 建物部分については課税 |
③ ①の取引に関する仲介手数料 | 課税 |
住宅ローン関係の諸費用もいろいろかかる
不動産会社に支払う仲介手数料もかなり大きな負担に
取引額(税抜) | 手数料 |
---|---|
200万円以下 | 5%以内 |
200万円超~400万円以下 | 4%以内 |
400万円超 | 3%以内 |
この計算は複雑なので、簡易な計算式がつくられています。
仲介手数料=(売買価格(税抜)×3%+6万円)×消費税
(この6万円は調整用の数値で常に6万円をプラスします)
先の1,000万円を例にとれば消費税が8%場合
(1.000万円×0.03+6万円)×1.08=38万8,800円の仲介手数料が上限ということになります。
電子契約はなぜ印紙税が不要?法的根拠とコスト削減例をご紹介!
・不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
・地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
・消費貸借に関する契約書・運送に関する契約書
1万円未満:非課税
10万円以下:200円
10万円を超え50万円以下:400円
50万円を超え100万円以下:1千円
100万円を超え500万円以下:2千円
500万円を超え1千万円以下:1万円 取引する際にかかるコストは
1千万円を超え5千万円以下:2万円
5千万円を超え1億円以下:6万円
1億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:20万円 取引する際にかかるコストは
10億円を超え50億円以下:40万円
50億円を超えるもの:60万円
契約金額の記載のないもの:200円
請負に関する契約書
1万円未満:非課税
100万円以下:200円
100万円を超え200万円以下:400円
200万円を超え300万円以下:1千円
300万円を超え500万円以下:2千円
500万円を超え1千万円以下:1万円
1千万円を超え5千万円以下:2万円 取引する際にかかるコストは
5千万円を超え1億円以下:6万円
1億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:20万円
10億円を超え50億円以下:40万円
50億円を超えるもの:60万円
契約金額の記載のないもの:200円
約束手形又は為替
手形10万円未満:非課税
10万円以上100万円以下:200円
100万円を超え200万円以下:400円
200万円を超え300万円以下:600円
300万円を超え500万円以下:1千円
500万円を超え1千万円以下:2千円
1千万円を超え2千万円以下:4千円
2千万円を超え3千万円以下:6千円
3千万円を超え5千万円以下:1万円
5千万円を超え1億円以下:2万円
1億円を超え2億円以下:4万円
2億円を超え3億円以下:6万円
3億円を超え5億円以下:10万円
5億円を超え10億円以下:15万円
10億円を超えるもの:20万円
上記のうち、
(1)一覧払のもの(2)金融機関相互間のもの(3)外国通貨で金額を表示したもの
(4)非居住者円表示のもの(5)円建銀行引受手形表示のもの
10万円未満:非課税
10万円以上:200円
株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券
500万円以下:200円
500万円を超え1千万円以下:1千円
1千万円を超え5千万円以下:2千円
5千万円を超え1億円以下:1万円
1億円を超えるもの:2万円
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