為替相場の決定理論【外国為替の基礎知識】
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今回のテーマ | 為替相場の決定理論 |
購買力平価からみる「ドル安円高」のシナリオ
✔︎ 為替レートの値動きは、すべて物価で決まる |
✔︎ 物価が上昇(インフレ) ⇒ 通貨価値は下落 |
✔︎ 物価が下落(デフレ) ⇒ 通貨価値は上昇 |
鈴木さんの解説動画はこちら
「物価が通貨に与える影響とは」の説明から再生が始まります。
関連記事 | ![]() | 為替レートと購買力平価【外国為替の基礎知識】 |
データでみる物価とドル/円の関係
(注)インフレ格差は米国の消費者物価指数の上昇率-日本の消費者物価指数の上昇率、20/6まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
✔︎ 赤枠部分にあるように、80年代以降は米国の物価が 日本の物価を上回っている |
✔︎ これは購買力平価の考え方では、ドル安円高が進みや すい状況だといえる |
✔︎ 購買力平価は、ざっくりとした方向感を探る程度 | 為替相場決定理論
✔︎ 2010年ごろからドル安円高圧力は減退 |
✔︎ 長期的にドル安円高を見込むほどではない |
鈴木さんの解説動画はこちら 為替相場決定理論
「本当にインフレは通貨安要因?」の説明から再生が始まります。
市川レポート(No.191)為替レートの決定理論~購買力平価
購買力平価(PPP、Purchasing Power Parity)は長期の為替レート決定理論としてよく知られ、自国通貨と外国通貨の購買力比率が為替レートを決めると考えます。例えばある製品が日本で安く米国で高く販売されていた場合、日本で買って米国で売れば利益が得られます。この時、日本は輸出増、米国は輸入増となるため、円は上昇しドルは下落します。この取引と為替レートの変化が続き、価格差がなくなった時点の為替レートが購買力平価(購買力を等しくする均衡為替レート)です。
絶対的購買力平価は物価の絶対水準、相対的購買力平価は物価の相対的変化率を重視
相対的購買力平価は為替の長期趨勢評価に有効、日米物価安定ならドル円相場も安定へ
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為替レート決定理論って?-公務員試験マクロ経済学
しかし、円高・円安を見分けるポイントは「 1ドルに対する円の価値は高くなったのか/低くなったのか 」という点です。ここで言う価値が高くなったとは、「日本円で1ドルを交換する際にどれだけ少ない 日本円の出費を抑えられるようになった か」を表します。上記のように「1ドル=110円」の時は1ドルを得るために110円使う必要があったのに、「1ドル=100円」になると1ドル得るために100円の支出だけで良くなります。これが「円の価値が高くなった、即ち 円高(自国通貨の増価) 」ということになります。
為替レート決定理論って?
それでは、為替レートはどのように決定するのか?実際、経済学的には様々な為替レート決定理論があり、教科書などで取り上げられるのは「 短期・中期・長期 」の期間の長さに分けて、為替レートがどのように決定されるのかを説明したりします。今回は、それぞれの期間に分けて、説明していきたいと思います!
ケインズの美人投票の原理-短期為替レート決定理論
短期為替レート決定理論で代表的なものが、「ケインズの美人投票の原理」です。「美人投票の原理」とは、「 所得や物価水準、利子率など基礎的な要因とは独立して投資家の気まぐれな見解によって短期の為替レートは決定する 」という考え方になります。つまり、規則性はなく、不安定な変化をするため、ここでは原理と書いてありますが、「こうなれば為替レートは必ず上昇する!」といった理論はないということになります。
金利平価説-中期における為替レート決定理論
次に紹介するのは、中期における為替レート決定理論である、「金利平価説」です。「金利平価説」とは、「 二国間の債権の利子裁定によって資本移動が生じることから為替レートの変動を説明する理論 」になります。
金利平価説の内容を簡単に説明すると、 二国間でそれぞれ債券に投資した時、為替レートの変化率(一定期間の間にどれだけ為替レートが変化したか)は、自国と外国の利子率の差に等しくなる というという考え方です。これをもっと簡潔に言うと、 「為替レートの期待変化率」は「内外金利格差」に等しくなる ということになります。
そして、金利平価説はこの均衡状態を前提にして話が始まります。
上記のように、計算していくと最終的に初めに話した為替レートの期待変化率と内外金利格差が等しくなります。これが金利平価説の計算になります。
購買力平価説-長期における為替レート決定理論
「購買力平価説」とは、「 為替相場決定理論 貿易財について国際的な一物一価の法則が成り立つという仮説を基礎とする為替レート決定理論 」のことです。
一物一価の法則とは?
また、「一物一価の法則」とは、 自由な貿易が成り立つとした場合、ある財の価格は均等化されるという考え方 です。自動車を例にとって考えてみましょう。自由な貿易が成り立つ以前はそれぞれの国内市場で自国における価格で販売されているとします。例えば、日本では1台=100万円、アメリカでは1台=11,000ドルで販売されていたとします。
絶対的購買力平価説とは?
では、為替レート決定理論の本題に入りますが、購買力平価説は大きく分けて2つの考え方があります。その一つ目が、「絶対的購買力平価説」になります。「絶対的購買力平価説」とは、「 為替レートは貿易財の価格を均等化するように決定する 」という考え方で、自動車などの貿易財によって為替レートが決まるという考え方です。
相対的購買力平価説とは?
絶対的購買力平価説に対して、相対的購買力平価説という考え方もあります。相対的購買力平価説とは、「 為替レートは二国間のインフレ格差を打ち消すように変化する 」という考え方です。インフレ(インフレーション)とは「物価水準の継続的な上昇」のことで、変化率の指揮を使って表されます。絶対的購買力平価説のパートで出てきた式を変化率の式に表すと、以下のようになります。
伸縮価格マネタリー・モデル
(1)為替相場決定理論
が成立する。 但し、 は自国の物価水準、 は外国の物価水準 、 は自国通貨建て直物為替相場である。
(2)
と表される。但し、 は名目マネー・ストック、 は実質貨幣需要関数、 は実質所得、 は名目金利である。同様に、外国における貨幣市場の均衡式は、
(3)
(4)
例えば、 他の事情を一定としたもとで、自国のマネー・ストック が増加すると、為替相場は、マネー・ストックの増加率と同率減価(自国通貨安・外国通貨高)することがわかる。これは、自国のマネー・ストックが増加すると貨幣市場において超過供給が発生し、これを解消するため、自国の物価水準 がマネー・ストックの増加率と同率上昇し、これが購買力平価を通じ、為替相場を減価させるためである。
次に、他の事情を一定としたもとで、自国の実質所得 が増大すると、為替レートは増価(自国通貨高・外国通貨安)することがわかる。これは、実質所得が増大すると、取引動機に基づいた貨幣需要が増大するため、貨幣市場において超過需要が発生し、これを解消するため、自国の物価水準 が下落し、これが、購買力平価を通じ、為替相場を増価させるためである。
最後に、他の事情を一定としたもとで、自国の名目金利が上昇すると、為替レートは減価することがわかる。これは、名目金利 が上昇すると、投機的動機に基づいた貨幣需要が減少するため、貨幣市場において超過供給が発生し、これを解消するため、自国の物価水準 が上昇し、これが購買力平価を通じ、為替レートを減価させるためである。
(5)
(6)
と特定化する。 は 、として定義され、所得が1%増加したとき、実質貨幣需要が何%増加するかを表す貨幣需要の所得弾力性である。一方、は、として定義され、金利が1%ポイント上昇したとき、実質貨幣需要が何%減少するかを表す貨幣需要の金利半弾力性である。(6)式を(2)式に代入し、両辺の自然対数をとると、
(7)
(8)
と表される。但し、ここで、自国と外国の 貨幣需要の所得弾力性、および、貨幣需要の金利半弾力性は等しいという仮定を用いている。 (7)、(8)式を一般物価水準について解き、これらを、購買力平価式(5)式に代入すると、
(9)
を得る。(9)式は、為替相場は自国と外国の名目マネー・ストックの差、実質所得の差、および名目金利差によって決定されることを意味し、 伸縮的マネタリー・モデル と呼ばれる。
次に、他の事情を一定としたもとで、自国の実質所得が1%増大すると、為替レートは % 増価することがわかる。これは、実質所得が1%増大すると、実質貨幣需要が % 増大するため、貨幣市場を均衡させるように自国の物価水準が %低下 し、これが購買力平価を通じ、為替相場を 為替相場決定理論 % 減価させるためである。
最後に、他の事情を一定としたもとで、自国の名目金利が1%ポイント上昇すると、為替相場は % 減価することがわかる。これは、名目金利が1%ポイント上昇すると、実質貨幣需要が % 減少するため、貨幣市場を均衡させるように自国の物価水準 % が上昇し、これが購買力平価を通じ、為替相場を % 減価させるためである。
Bilson、 J. F. O. (1978) “Rational Expectations and the Exchange rate”, in Frankel、 J. A. and H. G. Johnson (eds.), The Economics of Exchange Rates 、 Addison-Wesley Reading、 MA.
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為替レートが読める長期・短期2つの理論とは?気になるドル円レートの見通しが分かる記事
前者の理論は、主に メーカーや商社といった貿易をする企業に需要があります 。米国だけでなく、ベトナムでも、タイでも、海外に進出すれば米ドル建てで投資をすることになります。投資の回収期間は10~15年くらいになりますから、半年や1年程度先の為替レートを予想する必要はありません。10年後くらいに、これくらいの為替水準になっているかなという予想を、米国などで発表されている論文を基に行います。この考えを、購買力平価理論といいます。また、フローアプローチとも呼び、製品サービス取引におけるお金の流れによって為替が動くと考えます。
対して後者は、主に 金利差によって為替レートが変動する と考えます。こちらはアセット・アプローチ理論と呼びます。また日米、日中など、2か国間の資産価格が影響するため、ストック・アプローチという呼び方もします。
為替相場決定理論
永野: ドル円は1971年までは360円に固定されていましたけど、そこから変動相場制になり2011年には75円にまで円高になっています。この長期的な円高方向への値動きは、米国の物価上昇率と日本の物価上昇率による購買力平価理論で説明できます。この40年間、米国の物価上昇率は日本のそれより高いので、円高ドル安にならないとおかしいんです。たとえば米国で作っているトヨタ・プリウスと、日本で作っているトヨタ・プリウスは同じ値段のはずですが、物価は米国の方が上昇しているので、円高ドル安でその分が調整されないと、米国の方が高くなってしまいます。為替レートは長期的には、 物価上昇率が高い国が下がり、物価上昇率が低い国が上がるのが基本 です。
短期的な為替予測はアセットアプローチで
永野: ただその道中では、行き過ぎたり、戻ったり、価格がギザギザに動く部分があります。こういった 物価上昇率の影響が少ない上下動が、機関投資家や個人投資家が利益を上げられる機会になります 。
たしかに物価上昇率を基準に10年、15年というスパンで見れば、高い通貨が値下がりし、低い通貨が値上がりするのはまず間違いないんですけど、投資家はそんな長期間待てないですよね。機関投資家はその間に何回も成績を問われます。なので、こういった細かい値動きは、金利差を基準に判断する。これがアセット・アプローチの中のマネタリー・アプローチの考え方です。日米だけに限らず、日欧でも、日中でも、日タイでも、 2か国間の金利差が、短期的な為替レートを決める要因 為替相場決定理論 と解釈します。
こういったタイプの値動きを説明できるのが、もう1つのアセット・アプローチである、ポートフォリオ・バランス・アプローチ。マネタリー・アプローチとはまた違う考え方です。 リスクプレミアムを価格変動に盛り込む ことが特徴で、95年でいえば日米の貿易摩擦が表面化してきて円高が進みました。最近の人民元でいえば、2008~2015年くらいの時期に米中摩擦が次第に深刻になっていき、人民元高が進みました。金利差だけでなく 、政治要因などを考慮する のがポートフォリオ・バランス・アプローチです。
永野: はい、そうなります。 長期は購買力平価理論 、 短期はアセット・アプローチ です。アセット・アプローチには、マネタリー・アプローチと、ポートフォリオ・バランス・アプローチの2種類があります。ここ最近のドル円レートは、良好な日米関係を反映して、マネタリー・アプローチが説明力がある、とも言われています。
2021年以降は円高ドル安目線が基本に
永野: まず、ここまでの流れから見ていきましょう。 2013年から始まったアベノミクスは、非常に幸運な7年間だった と思います。2011年にドル円が史上最安値の75円をつけたあと、2014年にFRB(連邦準備制度理事会。米国の金融政策を実施する機関)の議長がジャネット・イエレンになりました。リーマンショック(2008年)からの回復を果たし、ここから米国の金利引き上げが始まりました。これがアベノミクス開始から1年後のことで、市場参加者は当然ドル買い円売りに動き、ドル円はだいたい110円前後まで下落しました。ラッキーですよね。
で、2020年以降の話です。コロナ禍で米国の2020年の4~6月のGDPは、年率換算の前期比で-32.9%となりました。なので、 リーマンショックのとき以上に、大規模な金融緩和をしてくるんじゃないか と思っています。もちろん日本も量的緩和政策を続けますけど、日米どちらもゼロ金利政策を続けると、米国の方がお金の発行量が多いため円高ドル安になります。
よって、2021年以降のドル円相場は、 円高相場がしばらく続くのではないか と。ドル建てで資産を持っている人は、円を買っていくのが良いでしょう。これがアセット・アプローチ、特にマネタリー面から見た2021年から2、3年の見通しで、105円を切って100円くらいまで下がる円高になるんじゃないかと思っています。米国の景気低迷が長く続けば、2011年のような90円台、80円台に突入するような展開もありえるでしょう。
永野: はい。先ほどのチャートを長期的に見ても、 円高を目指している時間帯がけっこう長いんじゃないか と思います。ただ、今回予想される円高が、2011年ほど極端なものにならないと思われる理由もまたあります。2013年以降、直接為替市場に介入しなくても、短期金融市場で国債やREITを買えば、つまり異次元緩和をすれば、それにともなって円安になることを、政府や中央銀行が学びました。2012年までの民主党政権下では、そういう学習がまったくできてなかったですけど、今はもう違います。なので、たとえばドル円が100円に近づいたりしたら、短期金融市場で規模の大きな資金供給をすることで、極端な円高を阻止してくると思われます。黒田バズーカ以上の資金供給を、新しい日銀総裁がやるかもしれません。とはいえ、購買力平価を考えると、 基本的な目線は円高方向であることも、まず間違いないでしょう 。
永野: 大規模な自然災害が起きたら、普通のその通貨は売られるじゃないですか。でも、 ドル円レートの場合はそうならず 、これが面白いところです。
2008年から米国も日本も量的緩和政策をとりましたが、米国の方が規模は大きいです。で、2011年に東日本大震災が起きて、これ以上日本が量的緩和政策を続けられないかもしれないという観測が広まった結果、 どんどん円高方向に価格が動きました 。他の国を見ても、大きな自然災害をきっかけに通貨高になったことはほとんどなく、かなり希有な例でしょう。
永野: そうですね。2000年代後半ですら、トヨタは1円円高になったら100億円、200億円の減収になるといわれていました。日本は人口減少が進行し、内需が後退していますから、 今はますますこの傾向が強いはずです 。またスズキは、インドでの販売台数が日本国内より多いんですよね。ただ、企業内での生産についても工夫が進み、為替レート変動の影響を受けにくい収益構造化が目指されている面もありますが。
永野: 東京外国為替市場だけでも、1日に100億~200億ドルの売買が行われています。その中で、輸出企業のシェアは10~20億ドル程度といわれていて、 そこまで大きな影響はないと思われます 。残りの大半は機関投資家のトレードですので、むしろ彼らの思惑で為替レートは短期的に変動しているともいえます。
世界的なドル高の傾向も終わりが見えてきた?
永野: 良い質問ですね。相場にはよく「壁」と表現されるレートがあります。円が絡まないユーロドルやユーロポンドは、1ユーロ、1ポンドが何ドルという表現をします。このとき、 ユーロやポンドがドルと同じ価格になる1.0 はよく意識されます。
永野: あとは1995年の79円、2011年の75円といった 過去の最高値 も意識されやすいです。
逆に2008~2014年の時期は、リーマンショック後でものすごいドル安になっていました。この時期、米ドルを持っていた機関投資家が米国政府を信用できなくなり、米ドルを手放していきました。その後2014年から米国が金融の引き締めを始め金利が上がり、米ドルを買い戻す動きになり、そこからのドル高につながっています。これは 典型的なアセット・アプローチ が当てはまる局面ですね。
そして2021年以降は米ドルの金利は下がっていくでしょうから、また 米ドルを手放す動きが加速すると思われます 。こういった点から、 アセット・アプローチは非常に精度が高い予測 といえます。
逆にユーロは、英国がEUを離脱する関係で話がこじれていて、長期的には厳しいのではという見方もありますね。先ほどお話しした2つのアセット・アプローチのうち、ポートフォリオ・バランス・アプローチですね。つまり 政治的要因により、通貨安の可能性が考えられる というわけです。
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