[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)
企業会計原則注解
〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は固定資産に属するものとする。
そこで、企業会計原則などでは、資産を流動資産・固定資産・繰延資産の3つに分類し、さらにそれぞれを細分化している。
企業会計原則
(貸借対照表の区分)
二 貸借対照表は、…、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、…区分しなければならない。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条 資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目(第二号に掲げる項目を除く。)は、適当な項目に細分しなければならない。
一 流動資産
二 固定資産
三 繰延資産
流動資産の範囲・具体例
流動資産の範囲
流動資産の具体例
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
(一)資産
…
A 現金預金、市場性のある有価証券で一時的所有のもの、取引先との通常の商取引によって生じた受取手形、売掛金等の債権、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産及び期限が一年以内に到来する債権は、流動資産に属するものとする。
前払費用で一年以内に費用となるものは、流動資産に属するものとする。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条
…
3 次の各号に掲げる資産は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる資産 流動資産
イ 現金及び預金(一年内に期限の到来しない預金を除く。)
ロ 受取手形(…)
ハ 売掛金(…)
ニ 所有権移転ファイナンス・リース取引におけるリース債権のうち、通常の取引に基づいて発生したもの(…)及び通常の取引以外の取引に基づいて発生したもので一年内に期限が到来するもの
ホ 所有権移転外ファイナンス・リース取引におけるリース投資資産のうち、通常の取引に基づいて発生したもの(…)及び通常の取引以外の取引に基づいて発生したもので一年内に期限が到来するもの
ヘ 売買目的有価証券及び一年内に満期の到来する有価証券
ト 商品(…)
チ 製品、副産物及び作業くず
リ 半製品(自製部分品を含む。)
ヌ 原料及び材料(…)
ル 仕掛品及び半成工事
ヲ 消耗品、消耗工具、器具及び備品その他の貯蔵品であって、相当な価額以上のもの
ワ 前渡金(…)
カ 前払費用であって、一年内に費用となるべきもの
ヨ 未収収益
タ 次に掲げる繰延税金資産
(1) 流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連する繰延税金資産
(2) 特定の資産又は負債に関連しない繰延税金資産であって、一年内に取り崩されると認められるもの
レ その他の資産であって、一年内に現金化することができると認められるもの
流動比率の目安は何%?活用方法や改善案を解説
流動比率は、会社の財務状況がどの程度の安全性を有するかを図る指標の1つです。
流動比率の数字が100%未満だと、売掛金や有価証券などの短期的に現金化できる資産額よりも短期的に支払いが必要な負債額のほうが大きいことを意味しています。
業種によってはこのままだと倒産してしまうリスクが見込まれるので、営業をかけて仕事を受注したり、固定資産を現金化して対策をとる必要があるでしょう。
流動比率がおよそ200%以上だと安全性は高いといえます。
しかし流動比率の数値は業種によって適正な数値は異なります。
例えば建設業などは、売掛金は建設が終わってから支払われる場合があり、大きな工事の場合は事業に着手してから1年以上かかる場合もあります。
多額のコストをかけて資材を調達しますが、長期間を必要とする工事である場合、売上の現金を回収するまで時間がかかり、資金繰りが厳しくなることがあります。
そのため、建設業では流動比率は他の業種より高いことが求められます。
一方で飲食業や小売業は現金商売が多く、売上が立てばすぐに現金が入ってきます。
特に飲食業は食材を仕入れてすぐに販売しなければならないので、仕入れたものがすぐに現金に変わります。
そのため飲食業や小売業の場合は、200%だとむしろ多い数値ということになります。
このように流動比率の目安は事業によって異なるので要注意です。
流動比率と当座比率との違い
流動比率と当座比率の違いは、棚卸資産のような換金性の低い資産を資産として含めるかどうかかです。
当座比率の場合、棚卸資産は資産に含まれないことが多いです。
そのため、当座比率は流動比率よりも低くなることが多いでしょう。
また、不良在庫を多く抱えている場合、流動比率だけで判断すると、経営の安全性を見誤ることがあるため、当座比率も確認するとよいでしょう。
実際に大きな家電量販店や、ホームセンターなどでは何年も売れていない商品が在庫に残っていることもあります。
製造業でも売れ残って返品された製品が倉庫に眠っている場合もあるでしょう。
流動比率では棚卸資産も含まれるため、何年も売れていない商品も資産の中に含まれ、流動比率だけでは財務状況の安全性を把握できません。
とはいえ棚卸資産の中には、価値があってすぐに売却できるようなものも含まれていることもあり、当座比率の方が会社の財務状況を正確に反映しているとは言い切れません。
例えば何かを輸入販売しようとして、商品を海外から仕入れて多めに保管している状態だと当座比率は低くなるものの流動比率は高くなります。
したがって流動比率と当座比率の数字をみる時は、流動比率と当座比率に差があるかをまずチェックします。
流動比率と当座比率に差がある場合は、どのような在庫を抱えて換金性があるのかどうかをチェックしなければなりません。
しかし少なくとも当座比率の数字が良ければ、ただちに倒産する危険性は少ないでしょう。
当座比率の目安はおよそ100%あれば安全だと言われています。
流動比率の計算
流動比率の計算はどのようにすれば良いのでしょうか。
流動比率の計算は計算式に当てはめると簡単に求めることができます。
計算式によって求められた流動比率の数字のもつ意味は、それぞれの会社の業態により異なるので、要注意です。
ここでは流動比率の計算式と目安について解説します。
流動比率の計算式
計算式自体はシンプルなものです。流動比率の計算をする際に要注意なのは流動資産の内容です。
流動資産を計算する際、在庫などの棚卸資産も含まれます。
つまり流動資産には在庫として保管されている商品・製品の価値も含まれているのです。
この商品・製品がすぐに売れて売上として計上することができれば何も問題ありませんが、売れ残って処分に困っているという場合もあります。
売れ残って処分に困っており、いつ売れるのか分からないような在庫を抱えていても資産には含まれるので、流動比率は実態よりも高くなります。
したがって流動比率が高い場合は、在庫の状況なども確認しましょう。
在庫に売れる見込みのない商品・製品が多数ある場合、実態の流動比率は計算結果よりも低く、安全性は見かけよりも低い状況にあるといえます。
流動比率の目安
流動比率の目安は業種によって異なります。
なぜ業種によって異なるかというと、売上が現金として回収できるタイミングが業種によって様々だからです。
小売業や飲食業などはその場ですぐ売上を現金回収できるため、流動比率は低くても問題ありません。
しかし建設業等の売上は現金の回収まで長期間を必要とするケースが多く、ある程度会社に資産の蓄えがないとうまく経営が回らない可能性があります。
業種別の目安は、政府統計の「商工業実態基本調査」によると以下の通りです。
流動比率の見直しと改善
流動比率が悪いと改善をしなければなりません。
流動比率は、高すぎても低すぎても問題です。
流動比率が高いときの改善方法と、低いときの改善方法を紹介します。
流動比率が高い時の見直し点
流動比率が高いということは、一見するとよいことのように思えますが、そうでないときもあります。
流動比率が高い原因は大きく分けて2つあり、使っていない資産が多くあるという可能性と、負債を抱えていないということです。
使っていない資産というのは、売れ残って処分に困っている在庫も含まれます。
その他にも、商品などにもなっておらず、現金のまま抱えていることも問題です。
なぜなら多額の現金を抱えて何も投資をおこなっていないということになっているからです。
投資を行っていない企業は、大きく成長することが難しく、競争激化する市場においては徐々に衰退していく場合もあります。
設備投資や人材確保など事業成長に向けた機会を失っているともみえるためです。競合や市場変化にあわせて競争優位性を築くことも必要でしょう。
またもう一つの理由の負債を抱えていないという場合ですが、これは一見するとよいことのように思えます。 流動資産って何
しかし融資を受けたり、商品の仕入等をつけで支払っているということは、取引先から信用されているということになります。
信用されていないと仕入れた商品はその場ですぐ支払わなければならなかったり、金融機関からの融資が受けれないというケースがあります。
融資を受けられず、自己資金のみで運用している場合も流動比率は高くなります。
流動比率の低い時の改善点
流動比率が低く100%を下回っている場合は、近いうちに資金がショートして会社が倒産するリスクがあることを意味しています。
流動比率を高くするには、流動資産を増やすか流動負債を減らすかの2通りの方法しかありません。
流動資産を増やす方法としては、固定資産を現金化したり、金融機関などから長期で融資を受ける方法があります。
融資のほかにも株や債券を発行して、増資をすると流動資産は増えていきます。
また、積極的に営業をかけて新たな仕事を受注するということも流動資産を増やすために重要なことです。
流動比率を低くするもう一つのやり方の流動負債を減らす方法としては、支払期間の延期を交渉してみるということなどがあります。
仕入先に対して支払期間の延期を求めるということは、その後の信頼に関わることなのでなるべくするべきではありません。
しかし流動比率が100%を下回っており、会社の資金がショートしてしまい倒産してしまう場合は、事情を説明して支払期間を伸ばすことができないか交渉をしてみましょう。
仕入先からすればこちらは常連のお客様ということになるので、よほど無茶な要求ではない限りは受け入れてくれる可能性もあります。。 流動資産って何
その他にも金融機関に対して、短期借入金を長期借入金に借り換えできないか交渉することも選択肢になるでしょう。
そのため、流動比率をしっかりと計算して、どうしても流動負債を減らさなければ会社の資金がショートしてしまう場合以外は、なるべく通常通りに支払うようにしましょう。
長期的に流動負債を減らすやり方としては、なるべく金融機関に頼らず融資を受けないというやり方もあります。
しかしこのやり方は流動比率の数値は良くなるものの、会社の資金力の低下になるので会社にとってプラスになるかどうかはわかりません。
流動比率について解説しました。
流動比率の目安は業界によって異なり、飲食業や小売業などのすぐに現金回収ができる業界においては100%を下回っていてもうまく回せる場合もあります。
そのため、流動比率の目安をはっきりと設定するのは難しく、展開している事業特性も考慮していく必要があるでしょう。
その上で流動比率が高すぎる場合、低すぎる場合で、それぞれ違う対策をすることで安定した会社経営が可能となります。
流動比率で会社経営を分析することで、長期的にしっかりと安定した経営ができるようにしましょう。
株式会社M&A DXについて
M&A DXのM&Aサービスでは、大手会計系M&Aファーム出身の公認会計士やWeb会社・広告代理店出身者等が、豊富なサービスラインに基づき、最適なM&Aをサポートしております。M&Aでお悩みの方は、気軽にすばるの無料相談をご活用下さい。
無料相談はお電話またはWebより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
財務諸表の見方
有形固定資産 建物・構築物、土地、工具・器具・備品等、有形で実在している資産 無形固定資産 ソフトウエア、電話加入権、営業権など無形で長期にわたり有効な権利 投資等その他資産 投資有価証券など長期にわたり保有する資産 流動負債 短期借入金や支払手形・未払金など、決算後1年以内に返済しなければならない債務を言います。 固定負債 社債、転換社債、長期借入金など、決算日から返済日まで1年超の期限がある債務を言います。 流動資産って何 純資産(資本) 投資家から集めたお金と、企業がこれまでに蓄積した利益の総計を言います。
貸借対照表でチェックしたい項目
損益計算書
損益計算書の例
① 売上高 ② 売上原価 | 237,674 180,662 |
③ 売上総利益 ( ① - ② 流動資産って何 ) | 57,012 |
④ 販売費・一般管理費 | 47,391 |
⑤ 営業利益 ( ③ 流動資産って何 - ④ ) | 9,621 |
⑥ 営業外収益 ⑦ 営業外費用 | 935 403 |
⑧ 経常利益 ( ⑤ + ⑥ - ⑦ ) | 10,153 |
⑨ 特別利益 ⑩ 特別損失 | 186 1,115 |
⑪ 税引き前当期純利益 ( ⑧ 流動資産って何 + ⑨ - ⑩ ) | 9,224 |
⑫ 法人税等、税金 | 4,309 |
⑬ 当期純利益 ( ⑪ - ⑫ ) | 4,915 |
- ① 売上高
通常の事業活動で得られた収入。連結貸借対照表を見るときにも使う数字です。 - ② 売上原価
売上高に要した商品などの仕入原価・製造原価のことを言います。 - ③ 売上総利益
売上高から売上原価を引いたもの。俗に言う「粗利」のことです。 - ④ 販売費・一般管理費
売上高に対する支出の諸経費。「販売費」には広告宣伝費などが、「一般管理費」には人件費・地代家賃・通信交通費などが該当します。 - ⑤ 営業利益
売上高から売上原価と販売費、及び一般管理費などの支出を引いたもので、企業の1年間の営業活動の成果を示します。 - ⑥ 営業外収益
営業活動以外の原因で経常的に生じる収入。受取利息・受取配当金などの金融収益、有価証券売却益などがあります。 - ⑦ 営業外費用
営業活動以外の原因で経常的に生じる支出。支払利息などの金融費用、有価証券売却損などがあります。 - ⑧ 経常利益
営業利益に営業外損益を加減したもので、企業の1年間の本来の意味での経営成果を示すものであって、業績を判断するうえで最も重要なものです。 - ⑨ 特別利益
臨時に発生した収益等で、経常的な営業活動によって発生する経常損益に含めることのできない利益。固定資産売却益などがあります。 - ⑩ 特別損失
臨時に発生した損失等で、経常的な営業活動によって発生する、経常損益に含めることのできない損失。固定資産売却損などがあります。 - ⑪ 税引き前当期純利益
経常利益に特別損益を加減したものです。 - ⑫ 法人税等、税金
法人税、住民税、事業税といった税金の総計です。 - ⑬ 当期純利益
税引き前当期純利益から法人税、住民税及び事業税等を控除し、法人税等調整額を加減した最終的な利益です。
損益計算書でチェックしたい項目
営業利益 本業で利益を上げているか。営業利益の赤字が続く企業は要注意 販売費・一般管理費 同業企業や過去と比較して、膨らみすぎていないか(経費削減など企業のスリム化が図られているか) 経常利益 本業以外の借入金(利息支払)や投資等による支出は適当な金額か(本業の足を引っ張っていないか)
キャッシュフロー計算書
営業活動によるキャッシュフロー
営業活動によるキャッシュフローの例
税引き前当期純利益 減価償却費 貸倒引当金の増加額 受取利息、及び受取配当金 支払利息 有形固定資産売却損 売上債権の増減額 棚卸資産の増減額 仕入債務の増減額 | 500 300 10 △2 2 10 △5 △95 △10 |
小計 | 710 |
利息、及び配当金の受取額 利息の支払額 損害賠償金の支払額 法人税等の支払額 | 2 △2 △10 △400 |
営業活動によるキャッシュフロー | 300 |
営業活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
営業活動によるキャッシュフロー(金額) 最終金額がプラスであるかどうか。プラスが多ければ多い程経営状況が良い。 売上債権、仕入債務の増減額 過去や同業他社と比較して大きな動きがないかを確認することで、他社との取引状況の変化を確認できる。売上債権の増大(未回収の売上代金が増えた)はキャッシュフローの減少(マイナス)につながり、仕入債務の増大(仕入代金の未払分が増えた)はキャッシュフローの増加(プラス)につながる。 棚卸資産の増減額 棚卸資産が増大し在庫がたまりすぎていないか。在庫の減少がキャッシュフローの増加(プラス)につながる。
投資活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフローの例
有価証券の取得による支出 有価証券の売却による収入 有形固定資産の取得による支出 有形固定資産の売却による収入 貸付による支出 貸付金回収による収入 | △100 30 △30 10 △5 10 |
投資活動によるキャッシュフロー | △85 |
投資活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
投資活動によるキャッシュフロー(金額) 営業キャッシュフロー金額内(プラス分)でマイナスであれば、積極的かつ適度な投資活動が行なわれていると推測できる。 有価証券・有形固定資産の取得による支出 将来に向けて積極的な投資活動が行なわれているかどうか。5~10年間分のキャッシュフローを見比べて、長期的な投資活動を確認すると良い。
財務活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフローの例
短期借入による収入 短期借入金の返済による支出 長期借入による収入 長期借入金の返済による支出 株式の発行による収入 配当金の支払額 | 10 △30 20 △10 10 △10 |
財務活動によるキャッシュフロー | △10 |
財務活動によるキャッシュフローでチェックしたい項目
キャッシュフロー計算書(営業・投資・財務)から推測できる企業状況
経営状況が良好な優良企業 営業キャッシュフローが大きくプラスであり、そのプラス分で投資キャッシュフローと財務キャッシュフローが賄われている。 事業拡大を目指している企業 営業キャッシュフローでプラスを計上しているが、投資キャッシュフローによるマイナス分を賄えず、資金調達のために財務キャッシュフローがプラスとなっている。 経営状況が悪化している企業 営業キャッシュフローがマイナスとなり、投資キャッシュフローと財務キャッシュフローのプラス分で資金を補っている。保有していた資産の売却や借入金等によって資金を調達している。
GRANDIT BLOG
2016年6月17日
貸借対照表の基本的な見方と3つのポイント
1. 貸借対照表とは?
貸借対照表はバランスシート(B/S)とも呼ばれ、企業の一定時点の財政状態を「資産」「負債」「純資産」から見ることができるものです。
つまり、決算時(一定時点)、会社はどんな財産(資産)を持っていて、その財産の元になるお金(負債・純資産)はどうやって集めてきたかがわかるようになっています。
1-1. 会社の全財産「資産」
資産とは、会社が集めたお金をどのような状態で持っているのかを表すもので、これらの資産は1年以内に現金化することが出来る「流動資産」と長期にわたり会社が保有することになる「固定資産」とに分けられています。
貸借対照表の資産は、原則として現金化しやすいものから順番に並んでいますので、上の段に「流動資産」、下の段に「固定資産」が表示されています。
1-2. 返さないといけないお金「負債」
負債とは、返さなければならない会社のお金を表すもので、他人資本とも呼ばれます。負債も資産と同じように、1年以内に返さなければいけない「流動負債」と1年を超えて返さなければいけない「固定負債」とに分けられています。
貸借対照表の負債は、原則として返済、支払期日の早い順番に並んでいますので、上の段に「流動負債」、下の段に「固定負債」が表示されています。
1-3. 会社の正味財産「純資産」
純資産とは株主が会社に入れてくれた資金や利益の積み上げを表すもので、負債と違い返す必要のないお金で、自己資本とも言います。純資産がマイナスであれば債務超過の状態であり、倒産のリスクが高いと判断されます。
純資産は株主のお金が関係してくる「株主資本」とそれ以外の「株主資本以外」の2つに分けられます。
株主資本以外
2. 貸借対照表 ここをチェック!
2-1. 会社の土台がわかる「自己資本比率」
自己資本比率が低いほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な経営を行っている会社となり、自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。
一般的に自己資本比率が40%以上なら倒産しにくい企業、50%以上なら超優良企業といえます。
2-2. 会社の支払能力がわかる「流動比率」
流動比率が低いほど、現金化しやすい資産に対して、短期的に支払うべき負債が多いことになり、短期的な支払能力が低い会社となります。
流動比率は200%が良いとされますが、一般的には130%~150%以上が目安だといわれています。 逆に100%を下回っている場合には、短期的な支払能力が足りないことを意味しますので、資金計画を見直すなどの対策が必要です。
2-3. 支払能力をもっと厳しくチェックする「当座比率」
流動比率と分母は変わらないため、流動比率をより厳しくしたものと言えます。
当座比率は100%以上であることが望ましいといわれており、流動比率が200%近くと高いのに、当座比率が100%以下になるような場合は要注意です。
過剰に在庫を抱えている、長期間売れ残っている商品があるなどが疑われるため、在庫管理の対策、改善が必要です。
やさしい企業会計 Vol.15 企業の3つの資産。流動資産・固定資産・繰延資産とは?
正常営業循環のなかで発生する資産や、その他1年以内に換金可能な資産を流動資産といいます。販売のために1年を超える期間を要する商品であっても、商品の特性として通常のことであれば、流動資産となります。
流動資産には、正常営業循環のなかで発生するものとして「現金預金」「売上債権」「棚卸資産」があります。
「現金預金」とは、金庫のなかにある現金や銀行預金です。
「売上債権」とは、売上代金のうち、まだ、現金預金として回収されていない分であり、現金預金を受取る権利を意味しています。
「棚卸資産」とは、売買 するための商品のことです。
また、その他の流動資産として、余剰資金の運用のために保有する他社の株などを意味する「有価証券」が代表的なものとして挙げられますが、他にもさまざまなものがあります。
固定資産とは
会社が「現金預金―(仕入)→商品―(売上)→売掛金―(回収)→現金預金 ―(仕入)→…」という循環によって利益を得るといっても、商品を売るためには店舗を構えたりパソコンで管理するといった必要があるでしょう。このような、商品の売買をサポートする循環のなかで発生する店舗やパソコンといった資産を固定資産といいます。
言い換えると、商品を販売するために1年を超えて利用される資産と、満期が決算日の翌日から1年を超える定期預金や長期にわたり保有する目的の有価証券など、1年以内に換金することを想定していない資産だということです。
固定資産は、「有形固定資産」「無形固定資産」という売上をサポートするものと「投資その他の資産」の3つに分類されます。
「有形固定資産」とは、土地や建物など会社が利用する資産で物理的に存在しているものであり、「無形固定資産」とは、商標権や特許権など会社が利用する権利などで物理的に存在していないものをいいます。
「投資その他の資産」とは、資金運用のための定期預金や長期保有の有価証券などをいいます。
繰延資産とは
例えば、
・ 株の発行に関する「株式交付費」
・ 社債の発行に関する「社債発行費」
・ 会社の設立に関する「創立費」
・ 会社の開業に関する「開業費」
・ 新しい経営体制を整えるための「開発費」
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